研究課題



ラドンを用いた大気輸送現象の評価方法の精緻化
 ラドン(222Rn)、トロン(220Rn)は天然の放射性の希ガスで、土壌や建築物から常に大気中に放出されています。発生と消滅の機構が単純なため、大気による輸送の解析が比較的容易です。特にラドンは半減期3.8日で消滅するため、大気に乗って地球を1周して再び巡ってくるラドンはわずかで、数1000kmの範囲の大気輸送現象を表すのに適しています。大気中ラドン濃度の時間変動・分布を利用して、大気輸送現象の解析・評価方法の精緻化を試みています。
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ラドンを用いた湿性沈着過程の定量的解明
 「風」すなわち大気輸送現象によって運ばれた空気中の物質は、「雨」によって人々の居住環境である地表面に効率的にもたらされます。同時に雨は地表の物質を流し去ります。大気中のラドン、トロンの壊変生成物は他の汚染物質と同じように降水や沈着によって大気から地表にもたらされます。従って大気による物質の輸送と降下のトレーサ(目印)と成ります。
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福島第一原子力発電所事故での放射性物質の大気放出と大気輸送の解析と評価
 2011年3月の福島第一原子力発電所事故でいつ何が起きたのか、周辺への影響はどのように広がっていったのか。そのより正確・詳細な把握が、次の安全向上に結びつく課題の発見・教訓の抽出の最も基礎となります。事故により大気放出された放射性物質の大気輸送過程、地表への沈着過程を、事故後のさまざまな環境モニタリング(観測・監視)の結果を元に、研究室のこれまでの研究成果とノウハウを活用し、つまびらかにする研究を進めています。
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福島第一原子力発電所事故の教訓に基づく環境安全研究:
放射性物質の放出発生直後から対応可能な迅速な環境放出解析方法の開発
 福島第一原子力発電所事故では、地震と津波の被害も重なり、事故発生時の気象観測、環境中の放射線・放射能のモニタリング活動から迅速な現状把握とその後の解析のために十分なデータが得られたとは言えない状況です。この事故での対応からは、環境モニタリングで何がもっとできたはずなのか、様々な教訓が引き出されます。
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ラドン壊変生成物による放射性エアロゾルの屋内空気中の挙動
 密閉された屋内や地下施設などの人工環境では、大気中のラドン・トロンとその壊変生成物濃度が高くなります。ラドン・トロンは自然に存在する放射性の気体ですが、濃度が高いと肺ガン発症リスクが高まり規制・対策が必要となります。このような空間でのラドン・トロンと壊変生成物の濃度測定法、共同解析と濃度低減技術の開発を行っています。
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地表面のトリチウムの移行についての研究
 核融合にも用いられるトリチウム(3HまたはT)は環境中では水素ガス形態から水や有機物の形態をとって食物として取り込まれます。その過程には分子拡散のような物理的な要因と、土壌の水素酸化細菌の活性といった生物学的な要因が絡みます。土地利用、降雨・乾燥、温度などの土壌の状態変化がトリチウムの環境動態に及ぼす影響を研究しています。
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